躍動!名張の獅子舞
名張の獅子神楽の由来
名張の獅子神楽は秋
獅子神楽(獅子舞)というと正月のイメージもありますが、名張は秋。各地の神社で、五穀豊穣、天下泰平、家内安全を祈り舞を奉納します。神社での奉納のほかにも、集落の家々を訪問する「村まわし」と呼ばれる風習があります。一軒一軒訪問して舞ったり、出産や結婚、新築などのお祝い事があった家で舞ったりと地域でさまざま。近年は、地域や店舗の催しなどでも舞が披露されるなど、身近に獅子神楽が親しまれています。
基本的に、獅子神楽は二人一組で太鼓の音に合わせて舞います。終盤になると「天狗」に扮した舞手が登場し、獅子と対峙するように舞ったり、にぎやかしとして、「チョケ」という「ひょっとこ」や「おかめ」の面をつけた舞手が登場したりして、観衆を楽しませてくれます。
由来は敢国神社の獅子神楽
名張の獅子神楽は、伊賀国の一之宮である敢国神社(伊賀市)に由来があります。元々は敢国神社の獅子神楽を専業で舞う人たちがいて、1~3月ごろには名張にも舞いに来ていたそうです。江戸後期以降、名張各地の有志が敢国神社の獅子神楽を学び、そこに地域の独自性が加えられつつ、秋に奉納されるようになっていったようです。
伊賀一宮敢國神社
江戸時代の名張は49の村に分かれていて、その村一つひとつに獅子があったとされています。戦時中に途絶えたり、後継者がいなくなったりして、現在では30近くになりましたが、各地域の保存会などにより、獅子神楽の躍動が脈々と受け継がれています。
多彩な獅子神楽
市内には獅子神楽の団体が30近くありますが、そのうち、「なばり獅子フェス2018」に参加の14団体をご紹介します。
この催しは、平成30年9月、市内で獅子神楽を担う有志の皆さんが開催。それぞれの舞に特徴があり、見るものを楽しませてくれました。
コロナ禍などもあり、それ以来開催されていませんが「市内にこれだけ多くの獅子舞が受け継がれているのはすごいこと」といった声も多く聞かれ、団体同士の交流も深まったようです。各地域に伝わる獅子神楽が、名張を元気にする地域資源として改めて見直されるきっかけとなりました。
「獅子フェス2018」に参加の14団体をご紹介
絆を結ぶ 獅子神楽
令和6年12月に蔵持市民センター祭の一環として、蔵持小運動場で開催された「獅子神楽フェス」。舞を披露したのは、蔵持獅子神楽保存会、八幡若連中、短野獅子神楽保存会(出演順)。「なばり獅子フェス2018」以来続いてきた交流がもとで、普段はそれぞれの地域で活動する3つの団体が集いました。
市内各地域の獅子神楽は、それぞれに伝統があり、衣装や道具の飾り、舞の仕草や動作など、いろいろと異なっているのがおもしろいところ。口伝えで伝承されたり、舞手の好みで変化を加えたりして、代を重ねるごとに変化してきたのでしょう。
共通しているのは獅子神楽への情熱。地域の絆を結び、地域に誇りを感じる貴重な機会にもなっています。獅子神楽の躍動は、まちの躍動そのものなのかもしれません。
近年は多くの団体で会員の高齢化が進んでいますが、地域の中で、また、団体同士で連携しながら、獅子神楽への情熱を盛り立て、後世に引き継いでいきたいものです。
伝統の「三頭舞」を復活させたい!
蔵持蔵持獅子神楽保存会 吉岡 芳弘さん
会員が高齢化し、コロナ禍のあと、蔵持伝統の「三頭舞」ができない状況に。一方で、「こども天狗をしたい」という児童は増加中!将来、子どもたちが獅子舞をしたいと戻ってきてくれたらうれしいし、もし、地域外に出ても、故郷でみんなと再会できる居場所は残しておきたい。そして、みんなで獅子舞を盛り立てて「三頭舞」も復活させたいですよね。
アドレナリンがドバドバです!
八幡若連中 濱田 喜真さん
小さいころから親しんできた獅子舞に、令和6年の秋、ついにデビュー。「露払い」と呼ばれる舞手の一番手を任され、もうアドレナリンがドバドバ!激しい舞で、みんなを笑顔にして、楽しませたいんですよね。というか、自分が一番楽しませてもらってるのかも。仲間も八幡も大好きなので、これからもずっと続けていきたいです。
体力が続く限り、頑張らなあかん!
短野獅子神楽保存会 中上 弘次さん
みんな獅子舞が大好きやし、大勢の人に見てもらいたい。だから、獅子神楽フェスに呼んでもらえてうれしかったし、機会があればいろんなところに出向きたいですね。地域のみんなの強い思いで、2001年に復活させた短野の獅子舞。なかなか動きが激しいですが、最近は若い子も入ってくれたし、体力の続く限り頑張らなあかんな!