江戸川乱歩生誕地の「ココカランポ」
江戸川乱歩生誕地なばり
日本の探偵小説を創始した作家、江戸川乱歩。乱歩の処女作「二銭銅貨」が発表されて2023年で100年の節目を迎えます。乱歩は、明治27年、名張の町に誕生。生後まもなく転居したため、乱歩にとって名張は「見知らぬふるさと」であり続けましたが、晩年になってようやく「ふるさと発見」が果たされました。
乱歩朗読劇&まち歩きで名張の奥深さを伝えたい!
ココカランポ実行委員会(古書からすうり)
中田 茂美さん、俊昭さん
名張のまちを活性化するにはどうすればいいか—。演劇に携わる名張出身の仲間ととともに考え、今なおアニメや漫画、映画、ドラマなどの題材になるなど、その作品は色あせず、全国にファンのいる「江戸川乱歩」に注目。乱歩生誕地、すなわちここから「乱歩」が始まったということで、「ココカランポ」と名付けた催しを始めることにしました。
初回となる乱歩のリーディング公演を2022年11月に開催。演劇や乱歩に興味のある人など、県内外から約60人にお越しいただきました。「名張ならではのおもてなし」として、乱歩がいたころの懐かしいまちの雰囲気を感じてもらおうと、会場に選んだのは、町家を活用した榊町集議所でした。
周辺の町家を巡るツアーも同時開催しました。町家の中に入ると参加者から「ワーッ」と声が上がるんですよ。趣のある中庭や屏風絵…。求められているのは、きっと知識なのではなく、驚きやかっこいいなぁという感覚。まさに、エンターテインメント。これは難しいことではなくて、ここに住む私たちが「おもしろい」「興味深い」というものを、愛着やこだわりを持って見せていくことが大切なんじゃないかな。また、乱歩作品に親しんでいるのは若い女性が多いので、誰に向けてどのような企画をするかといったターゲティングも重要だと思います。
でも、乱歩作品や名張のまちのよさって、なかなか一言で伝えにくいんですよね。想像を膨らませたり、体感したりしてはじめて、その奥深さに気付けるのかも。だから、そんな場をつくっていくことができれば、名張のファンがもっと増えていくはず。それは、私たち自身が、日常をワクワク楽しめるような場にもなっていくと思うのです。
今後も、演劇を核に、町家ツアーなどのサブコンテンツを趣向を凝らしてやっていきたいですね。将来的には、ミステリー図書館をまちなかにつくることが私たちの夢です。
「広報なばり」2023年1月号掲載