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マルチに使える風情ある町家「旧細川邸 やなせ宿」

 初瀬街道沿いにある旧細川邸は、江戸時代から明治初期に建てられた薬商・細川家の支店でした(本店は大宇陀にあり、「薬の館」として公開)。細川家は、後に藤沢薬品工業(現在はアステラス製薬)となる藤澤商店の創業者、藤澤友吉の母方の家系となります。

旧細川邸は、虫籠窓(むしこまど)や袖卯達(そでうだつ)、つし二階を備える典型的な町屋であり、大和長谷寺と伊勢神宮を結ぶ初瀬街道沿いに今も風情を残しています(入館無料)
川蔵・主屋・中蔵・門が重要有形文化財として登録されている
大振りの虫籠窓が目を引く
説明プレート
レトロ喫茶が入る川蔵

歴史的な街並みを保存整備する拠点施設

 築百年を超える貴重な商家や町家が空き家となり、解体される例は珍しくありません。旧細川邸は、歴史的な街並みを保存整備する拠点施設として、市が改修。平成20年に「やなせ宿」としてオープンしました。

改修前の旧細川邸(名張川の対岸から)

「やなせ宿」(やなせしゅく)名称の由来

 古来より名張川は「あゆ」の名所で、この付近には「あゆ」を捕るためにの簗(やな)がたくさん設けられ、ここからその地名も「簗瀬(やなせ)」と称されました。

 明治以降に「名張」という地名に変わりましたが、この地の川や水の風土に由来した、名張の旧称を生かすとともに、江戸時代には「初瀬街道」の宿場として栄え、「名張八宿」と呼ばれた賑わいを再生し、人々が集う場所となることを目指して、施設の愛称を「やなせ宿」とし、いまは、地域の皆さんによって、多彩な運営がなされています。

やなせ宿が、コスプレロケ地検索予約サービス「アコロケ」に登録されました。
映える町家スポット盛りだくさんです。写真は記者会見時のイメージです。
国の登録有形文化財を舞台に、貸館でのコスプレ撮影が可能に
いい感じですね~


中蔵で写真展なども開催。活用に関してはやなせ宿へお問い合わせください。
町家の雰囲気を生かし、乱歩作品の朗読劇が上演されたことも
シェフや訪れた人との交流を楽しむことを目的としたコミュニティレストランもあり、料理好きな人や飲食店の開業を目指す人、学生などの日替りシェフが腕を振るうランチを堪能できます。


川蔵のレトロ喫茶は土日にオープンしています。
駄菓子屋さんも入ってます(奥で店番をしているのは、名張のご当地キャラ ひやわんです/人形のため愛想は振りまいてくれません)

やなせ宿を活用いただき、まちが賑やかになれば

池田 毅 さん (旧細川邸やなせ宿 館長)

池田さん)幼いころから知っている旧細川邸。懐かしい雰囲気が漂う町屋で、今は講習会や写真展などにも活用いただいています。
 「コスプレ」用の貸館も始めましたが、コスプレでなくても、ふらっと来館いただき写真を撮っていただくのも大歓迎です。
 やなせ宿を、いろんな人に、いろんな形で活用いただくことで、まちが賑やかになっていけばいいなと思います。