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私の居場所には愛があふれてる

2019年「世界ダウン症の日」ポスター

大好きな「お茶」が縁で、全国的な啓発ポスターのモデルに

 東京で2019年に開催された「世界ダウン症の日」ポスター発表会。ポスターのモデルとなった当時33歳の私は、文部科学省の副大臣などの来賓やたくさんの報道陣に囲まれ、すごく注目されました。市長さんからは「名張の誇り」って言ってもらえましたし、南宗寺の献茶会に招かれ、裏千家千宗室お家元とご同席させていただけました。まさかこんな日が来るなんて!これは、ぜんぶお茶が取り持ってくれた縁なんです。

 お茶を始めたのは、小学5年生のとき。用務員さんに誘われ茶道クラブに入りました。とても楽しい時間でしたので、中学生になってからも続けたいと思い、母は、近所にお住まいの茶道の先生に弟子入りのお願いをしてくれました。「障害のある子を教えたことがないけれど、まずは体験から」と先生に稽古をしてもらえるように。お点前の所作には難しい決まりがありますが、私が分かるように、根気よく丁寧に教えていただきました。それに、私が主催するお茶会「七夕茶会」という目標もつくってくれました。先生は「どんなに偉い先生でも、お稽古を怠ればお茶会でうまくできない」とおっしゃいます。休まずに、お稽古通いを続けた成果が認められ、茶道裏千家から「澤田宗仁」という茶名をいただきました。20歳のころです。

私はあまり泣かないのですが、そのときはうれしくて泣いてしまいました。25歳には、お稽古をしていても簡単にはたどり着けない「准教授」の許状を頂きました。

「世界ダウン症の日」啓発ポスターモデル 澤田 仁美さん

いろんな人の支えで、チャレンジできる

 できれば、茶道は一生の楽しみとして続けていきたいですし、仕事も頑張りたい。何か新しいことも始めようと、最近は、近所の人と一緒にヨガ教室にも通い始めました。私が代表を務め、絵本の貸出など本の魅力を伝える「私の一冊文庫」も、コロナ禍で活動方法を変えていかなければなりません。

 私が小さいころ、療育に携わってくれた先生が母に「娘さんの一生の楽しみを見つけてあげて」と話してくれたそうです。学校の先生やお茶の先生、地域の皆さん、そして、そばで応援してくれる両親の支えがあって、チャレンジできる!いろんな人との出会いで、私の可能性が広がります。私の居場所は、私を支えてくださる人の温かい気持ちでいつも満たされているのです。

取材に立ち会っていただいたご両親をはじめ、仁美さんを支える皆さんと一緒に

「広報なばり」2022年1月号掲載

Profile 澤田仁美さん

2019年の「世界ダウン症の日」の日本版ポスターモデルに起用された澤田さん。小学5年で茶道を始め、中学1年で裏千家流准教授・高島宗美さん(つつじが丘)に弟子入り。稽古を続け、25歳に准教授に。現在、名張育成園「とも」が運営する「CAFE&GALLERYホップ」で週4日働き、地域文庫「私の一冊文庫」代表も務めている。

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