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若者が活躍する赤目地域のまちづくり

豊かな田園風景が広がる赤目地域。奥に見えるのは地元で親しまれている竜神山
観光地でもある赤目四十八滝もあり、観光客と地域とのつながりも生まれている地域だ
そんな赤目地域では、「何をするにしても若い人を巻き込んでいこう」と、若者(主に子育て世代)の活動を支援している。※所属などは取材時(2022年10月)のものです。

空家で学習教室を開く!?地域で叶えた大学生の思い

 名張市赤目地域にある空き家で学習教室を開いた大学生がいます。「授業料が高かったり、通えなかったりして塾に行けない子もいる。自分にできることを生かして、地域の役に立てればうれしいですよね」と話すのは、三重大学2年生の冨森一汰さん(下写真右から2人目)。現在は、友人2人とともに、10人の地元の中学生を安価な授業料で教えています。 

「地域の役に立てれば」と空き家で学習教室を開いた大学生と空き家を借り上げた(一社)「滝川YORIAI」の皆さん

 空き家を借りたのは、地元の青年会メンバーが立ち上げた一般社団法人「滝川YORIAI(よりあい)」でした。賃料の代わりに建物の維持管理を行って、大学生に活用してもらっています。「空き家を譲った後に、近所に迷惑がかからないか心配している人が多い」と代表理事の重森洋志さん(写真左から2人目)。「『祖父母の代から顔なじみ』の信頼関係がある強みで、空き家の活用を円滑に進めていくことができています」と話します。

 「滝川YORIAI」は、閉鎖寸前だった赤目四十八滝キャンプ場の運営を皮切りに、地域資源の掘り起こし、空き家や耕作放棄地の活用、集客イベントの開催など、地域課題解決に向けた取組を進めています。

若者が、地域づくり組織で重要な役割を担っています

 「これまでにない新しい事業を進めていくためには、地域の理解が欠かせません」と重森さん。赤目まちづくり委員会は、これまで、区長経験者を法人に派遣し、地域住民とのつなぎ役とするなど、重森さんらの活動を支援してきました。

地域で広場を整備。若者たちもイベントなどに積極的に活用し、地域を盛り上げている。

 赤目まちづくり委員会会長の藤村純子さんは、「地域の活動は、何をするにも若者を巻き込んでいきたいと考えています。地域の担い手が減っていく中、若者の感性を取り入れて、これまで『当たり前』だった行事を変えていく必要がある」と訴えます。現在は、「滝川Y O R I A I」をはじめ、青年会や消防団、P T Aなどに所属する若者自身が赤目まちづくり委員会の役員となり、地域の防災や青少年育成、賑わいづくりなどに積極的に関わっています。

赤目まちづくり委員会の運営イメージ(令和4年度)

interview

(一社)滝川YORIAI   重森 洋志 さん

地域の支えがあると、いろんなアイデアが形になっていく!

 空き家を学習教室などとして活用していると、「この空き家も使ってくれへんか」という声をいただくように。空き家を維持管理するだけでなく、地域が賑わい、ビジネスにも結び付くような活用方法を所有者とともに考えます。こうした地域活性化に向けた取組を積み重ね、子どもたちにとって、将来の可能性を見出せる地域を築いていきたいですね。

 でも、地域の中で「あいつら勝手なことやって」となれば、円滑に事が進まなくなってしまいます。地域一丸となって私たちの活動を応援いただいているからこそ、いろんな事業にチャレンジできる。また、若者同士の横の連携があることも大きな力となっています。

 他地域の人に「若者の参画を進めるには?」と聞かれますが、平日昼間に会議が行われていたりすることも…。従来の慣習を一つひとつ見直していく必要があるのではないでしょうか。


元小学校PTA会長  冨森 康宏 さん

PTA・学校・地域がスムーズに連携

 PTA会長、小学校長、区長などが「青少年育成部会」を構成しているので、何をするにも調整がしやすい!顔の見える関係だから「無理のない程度で」と気軽に助け合えるのもいいところですね。

 赤目地域では独自に、PTA役員経験者による「PTA運営評議会」を5年前に設立し、現役役員とともに活動しているので、地域との連携もうまく引き継いでいけるし、若者同士の新たなつながりも生まれていますよ。


消防団 赤目分団  濱地 俊宏 さん

「みんなで助かるまちづくり」を

 子どもやお年寄り、車いすの人など、それぞれの視点で防災を考えておくことが大切です。地域ぐるみの防災訓練は重要な機会なので、消防団もしっかりサポートします。

 また、地域の催しに消防団が参加したり、消防団OBに支援いただいたりと、地域のつながりを大切にしながら、災害時に迅速な対応ができる体制を築いています。今後も、自助と共助で「みんなで助かるまちづくり」を進めていきます。

赤目まちづくり委員会 会長    藤村 純子 さん

若者の声にしっかり耳を傾け、挑戦できる雰囲気をつくらないと

 まちづくりの担い手不足はじわじわとやってきます。高齢者などの生活支援組織「あんしんねっと赤目」でも、利用者が増える一方、ボランティア会員数は横ばいのままです。そうした中、赤目まちづくり委員会前会長の「若者や女性が積極的にまちづくりへ参画できる体制づくりを」といった考えを引き継ぎました。

 コロナで中止になりましたが、夏祭りの運営を若い人たちに任せたところ、高校生がポスターを作ったり、子どもが盆踊りに参加できるようにしたりと新しい試みも企画されました。「今まではこうだったから」と頭ごなしに否定せずに、シニアの側から、しっかりと聞く耳を持つことが大切。若い人たちのチャレンジを温かい目で見守っていきたいですよね。

 もちろん、従来の事業を180度変えてしまおうとしているのではありません。いろんな世代の人の発想を生かして、失敗も繰り返しながら、少しでもいい方向にまちづくりを継続していければと思うのです。


「広報なばり」2022年10月号掲載


名張市の自主自立の地域づくり

名張市では、自治組織である「地域づくり組織」に対して、使途自由で補助率や事業の限定がない交付金「ゆめづくり地域交付金」を交付しています。

地域づくり組織は、おおむね小学校区を単位とする15の地域になります。

地域づくり組織では、ゆめづくり地域交付金を活用し、地域課題の解決、地域振興や住民交流に関することなど、「住民が自ら考え、自ら行う」を基本理念とし、まちづくりの推進のための事業を行っています


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