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跳べ!世界へ

会場を驚かせた「17m」の衝撃

 2021年9月、三段跳びで出した記録は日本人3人目となる17m。これまでの練習の成果をしっかりと出せた納得のいくジャンプでした。「17m」は相当高い目標でしたが、まさか、こんなに早く達成できるとは。会場がざわめき、SNSはその話題で持ち切り。もう、浮足立ちましたね。
 「次の目標は?」とよく聞かれますが、「焦って記録を伸ばそうとせず、いつでもコンスタントに好記録を出せるようにしよう」。そう助言してくれるのがコーチの松尾先生です。じっくり地道に練習を積み重ね、近いうちに記録更新できればと考えています。

もう絶対に逃げない

 中学生から三段跳びを始めたのですが、最初はいい記録が出ませんでした。でも、中学校の先生の「お前はいつか必ず記録が出る」との言葉を信じて、とにかく練習を続けました。転機が訪れたのが高校3年生の時。細かった身体もしっかりしてきて、初めて全国大会で入賞。三段跳びで5位でした。ようやく結果が出たと思った半面、「まだこれから」と奮い立ちました。同じく練習を続けていた幅跳びでも結果を残したい。そう思ったのです。中学生のころ、100m走で記録が出ずに、幅跳びに移行したことがあって。「二刀流」にこだわっているのは、「もう絶対に逃げたくない」という強い思いがあるからです。
 記録が出なくて嫌気がさすこともありましたが、やめたいと思わなかったのは、陸上が好きだから。やりたいことがあれば、あきらめずに長い目で見ることが大切。「継続は力」ですよね。

練習に励む伊藤陸さん

世界を舞台にどれだけ跳べるか

 陸上の楽しさを教えてくれたのは父。今でも大会があれば応援に駆けつけてくれます。「きっと記録が出る」と、近大高専への進学を薦めてくれた中学校の先生、そして、今は、松尾先生とオリンピックも視野に入れてトレーニングの計画を立てています。いろんな人や環境に恵まれているんだなと思い、感謝しています。
 伸び続けてきた身長も止まり、自分の体の特徴に合わせた独自のトレーニングも始まったばかり。世界を舞台に、これから自分がどれだけ跳べるか—。世界のトップを目指して競技を続けていくことで、見えてくる景色がきっとあると信じています。

監督 松尾大介さんと伊藤陸さん

「広報なばり」2022年1月号掲載


PROFILE

第90回日本学生陸上競技対抗選手権大会(日本インカレ/2020年9月)では走り幅跳び、三段跳びの2冠。走り幅跳びの記録8.05mは学生歴代10位。そして3連覇となった三段跳びで記録した17.00mは、日本歴代3位。187㎝の長身で、成長著しいマルチジャンパーとして期待されている。近畿大学工業高等専門学校専攻科1年(当時)。菰野町出身


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