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思えば、近くへ来たもんだ

名張へUターンし、工務店を開業
野山 直人さん

大阪の建築事務所では、近畿大学の校舎やなんばパークスの図面を手がけました。大きな建物をつくる楽しさもありましたが、ヨーロッパを訪れたのをきっかけに、「日本にも世界に誇れる木造建築がある。もっと勉強したい」という思いに駆られていきました。

働きながら、大阪の職業訓練校に通い、刃物のとぎ方から学び直したりもしました。名張を出て9年。子どものころの情景が忘れられず、子育ては名張でと思い帰郷。子どもが生まれ、起業するなら若いうちしかないと決心し、縁があって、事務所として新町にある木造の空き家をお借りすることになりました。

新町で工務店の事務所を構えた

 風が通らないと建物は湿気にやられてしまう。だから、人が住んでいないと、だんだんと朽ちていくのです。空き家の管理に困っている家主と、古民家に魅力を感じて住みたい人が、うまくマッチングされればいいのですが、不動産の売買・貸借は、なかなかシビアな問題。名張でも空き家が増えていますが、空き家を活用する選択肢を広げられないかと考えています。そこで、お借りした空き家を舞台に何ができるのかを考えて実証していこうと、プロの設計士やデザイナーに声をかけ、打合せの日も決めていました。

 いよいよというとき、コロナ禍で計画がストップ。そのうち、「建築の専門家が集まって、何かやっている」というのではなく、「もっと、地域のいろんな人に関わってもらえれば」と思うようになっていきました。願いは、名張のまちなかに人が集い、賑やかであってほしいということ。その原点に立ち返り、古民家で 〝 何かやりたい人″とつながっていこうと方向転換したんです。いろんな人に多角的に携わっていただけると、可能性が広がっていくはずです。私には、他にも「伊賀産木材のブランド化」という夢がありますが、山の手入れから流通経路まで途方もない課題がある。まずは、山に興味をもってもらおうと、人が集えるサウナを作ろうと計画中。現在、県内外の若者とつながりながら、少しずつですが、夢に向けて前進しています。

空き家のリノベーションも手掛ける

 大変で「楽」じゃなくても、やりがいがあって楽しいと思える道を選ぶことが、私のモットー。これまでの人生は回り道ばかりだったかもしれませんが、その経験を生かして、大好きな名張で活動できていることは、すごくありがたい。名張に帰ってから、自分は「大切な人に囲まれているんだ」と強く思えるようになりましたね。

山に囲まれた名張のまち。「大切な人に囲まれている」ことも実感している

「広報なばり」2021年1月号掲載(2021年1月時点の情報です)


Profile

瀬古口在住。妻と子3人の5人暮らし。6年前に名張へU ターンし、2017年にリフォームに特化した工務店を開業。名張学園祭に携わった大学生などにも声をかけ、2020年12月に、新町で借りている空き家の活用プロジェクトが始まった。「この空き家が、若者が地域とつながれる場になれば。そんな環境をつくるのも大人の役割」と野山さん。


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