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江戸川乱歩生誕地の「ココカランポ」2

江戸川乱歩生誕地 なばり

日本の探偵小説を創始した作家、江戸川乱歩。処女作「二銭銅貨」が発表されて2023年で100年の節目を迎えます。乱歩は、明治27年、名張の町に誕生。生後まもなく転居したため、乱歩にとって名張は「見知らぬふるさと」であり続けましたが、晩年になってようやく「ふるさと発見」が果たされました。

江戸川乱歩生誕地碑。市街地の一角に「乱歩生誕地碑広場」が整備されています。

第2回「ココカランポ」は、江戸川乱歩「芋虫」を描く

リーディング公演「ココカランポ」を企画した実行委員会の皆さん。
右端が三浦貴司さん。右から2人目が中田俊昭さん。

乱歩作品に触れる「リーディング公演」

江戸川乱歩の作品を「リーディング劇」で楽しむ「ココカランポ」の第2回公演が、5月13日、やなせ宿で開催。昼と夜の2回公演とも満席で、合わせて60人が参加しました。乱歩生誕地にある町家の雰囲気を十分に生かした、ここでしかできない演出となったのでは」と、主催者のひとりで、舞台製作に携わる三浦貴司さん。

リーディング劇として上演されたのは、江戸川乱歩の短編小説「芋虫」
(写真は全てリハーサル時のものです)
「芋虫」は、戦争で四肢と聴覚、声帯を失った男とその妻の心情を描く物語だ。「人間の弱い心の動きが繊細に表現されていて、悲しみがしっかりと描かれてる。普遍的なテーマ」と中田さん。
文化レベルの高い金沢で、演劇や舞踏の分野で精力的に活動している二人に出演を依頼。「いかに空間を生かせるか」を考え抜いたんだそう。「質の高い公演となった」と三浦さん。
映画好きでもあったという乱歩。その作品は情景が目に浮かぶような映画的な記述も多い。
市内や大阪、滋賀などから訪れた観衆は、どっぷりと乱歩の世界に引き込まれていった。

乱歩が生まれたまちも紹介

公演の合間に、やなせ宿付近の町家を案内した中田俊昭さんは、「町家も乱歩も劇もひっくるめて、名張の魅力として発信できた。乱歩作品の楽しみ方を、これからも、ここ名張で提案していきたい」と、手ごたえを感じていました。

町家を紹介する中田さん。自身も、町家を改修した古書店「からすうり」を営む。
「町家のかっこいいな!を共有したい」と中田さん。
普段は入れない旧旅館をはじめ、登録文化財となっている建物を中心に、その魅力を紹介した。

趣向を凝らした展示も

会場となった「やなせ宿」。江戸時代末期から明治初年に、薬商細川家(奈良県宇陀市大宇陀区)の支店として建てられ、歴史的町並みの保存整備に関する拠点施設とするため市が改修した施設だ


会場では、江戸川乱歩関連の展示も。名付けて「マチカド乱歩資料室」
名張での乱歩の貴重な記録
作品の世界観を感じる展示もあり、来場者はどっぷりと乱歩の世界を堪能できた

「広報なばり」2023年6月号掲載


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