「人を助ける」ことが僕のすべて
名張市立病院 看護師
中井 祐樹さん
母が、医療のドキュメンタリーにはまっていまして。幼少期のころから、テレビに映し出される「人を助ける」姿を見て、僕も将来は人を助ける人になるんだと思って育ちました。中学校の職場体験では看護師を選択。もう、一直線ですよね。看護師になって12年目(当時)。看護専門学校に学び、大阪大学医学部付属病院に4年、そして、結婚を機に名張市立病院へ赴任しました。大変な状況にある伊賀地域の救急医療に少しでも貢献したい。それに、地元の人を助けたいという気持ちが大きかったのです。
「立ち止まらずに、一歩でも成長していきたい」。常にそう考えています。2020年4月からは、「クリティカルケア認定看護師教育課程」の研修を受講。クリティカルケアとは、救急医療やICUでの集中ケアのこと。医師の作成した手順書に従って、自己の判断で診療補助(特定行為)が行えるようになるための研修です。例えば、人工呼吸器の設定変更を看護師の判断でタイムリーに行えるので、苦痛の緩和や人工呼吸器からの早期離脱につながります。働きながら、学校に行って勉強するのは正直すごくしんどい。でも、勉強したことを、すぐに現場で生かせるので、やりがいが半端ないです。
研修の中で、改めて感じているのが多職種連携の重要性。一人の患者さんに、医師や看護師、検査技師、放射線技師、リハビリ技師、栄養士など、様々な職種が関わります。なかでも、私たち看護師は、患者さんにとって最も身近な存在です。医師に伝えにくいことを患者さんから伺ったり、家族の不安に寄り添ったり。医師や技師などの専門的な判断や思いも理解しながら、多職種がチームとして患者さんにとってよりよい選択を提案していくために、私たち看護師は重要な役割があるのです。
特に、救急の現場は、患者さんやその家族の気が動転していることも多い。「自分だったら」と相手の身になることを心がけるようにしています。自分の子どもだって、いつ運ばれてくるか分からないわけじゃないですか。看護技術を磨くことは当然のこと。その上で、相手の立場に立てるプロを目指したい。一人でできることは限られていますが、病院の多職種チーム、そして伊賀圏域全体が一丸となって、いざという時に「人を助ける」ことができる医療を提供していけるように、私にできることは何だってしていきたいと思っています。
「広報なばり」2021年1月号掲載(2021年1月時点の情報です)
Profile
つつじが丘在住。伊賀市出身。名張市立病院で「特定行為」が実施できる看護師第1号となるべく奮闘中。妻と子の3人暮らしで、今年春には家族がもう一人増えるそう。「緊張が強いられる現場から離れて、2歳半になる子どもの笑顔をみると、ほっとします」とにんまり顔。